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お茶会が解散になっても、部屋に戻る気にはなれなかった。
だから、私はぼうっとしながら、片付けが行われる庭園を見つめる。
先ほどまで、様々な人たちが談笑していた場は、今ではもうかなり片付いていた。
(……なんだか、虚しい)
私を怪訝そうに見つめる使用人たちの視線を、感じる。でも、今の私にはやっぱりそういうことはどうでもいい。
……自分の胸の中に募るモヤモヤを理解するのに、必死だった。
多分、これは嫉妬とかそういうものの一種なのだろう。
コルネリアさまは、ラインヴァルトさまに相応しい。
彼女のことは周囲の誰もが認めている。……対して、私はどうだろうか?
誰からも認められない。役にも立たない。……権力だって、ない。
それすなわち、私は彼に相応しくないのではないだろうか?
「……ラインヴァルトさま、コルネリアさまと楽しそうだった」
彼のコルネリアさまに向ける笑みは柔らかくて、親近感を含んでいた。
私に向けられる笑みには、溢れんばかりの「愛おしい」という気持ちがこもっている。が、結局はそれだけ。
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