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親近感という気持ちは、こもっていない。私とよりも、きっとコルネリアさまと一緒にいたほうが、楽なんだろう。
「……う」
そう思った瞬間、涙が込み上げてきた。
自然と目元をこする。
でも、涙は止まらない。どれだけこすっても、拭っても。とめどなく溢れてきて、私の頬を濡らしていく。
「私……じゃ、ダメ、なの」
私じゃダメだ。誰も、私のことなんて愛してくれないし、選んでもくれない。
今更それを突きつけられて、苦しくなって。……バカみたい。
ラインヴァルトさまが、私を大切にしてくれるから。……舞い上がって、しまったのだろう。
――本当の私は、愛を与える価値もない人間だというのに。
「うぅ」
しまいには嗚咽が漏れ始めた。
近くを通りかかったメイドが、何事かと声をかけてくれる。けど、私は「なんでもない」というのが精いっぱいだった。
だって、そうじゃない。……今、誰かとお話をしたら。
――絶対に、八つ当たりしてしまう。
その自信だけは、あったから。
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