第2話

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 それからしばらく時間が経って。  誰かが、私の側に立つのがわかった。その誰かは私の身体に上着をかけてくれて、「風邪引くぞ」と言葉を発した。 「……ラインヴァルトさま」  その人物のお名前を口にすれば、彼は「あぁ」と端的に返事をくれた。  そして、彼の手が私の肩に触れようとする。……咄嗟に、振り払ってしまった。 「テレジア?」  視界に入った彼の驚くような顔が、私の心臓をぎゅって締め付ける。  でも、彼に優しくされたくなかった。だって、優しくされたらもっともっと苦しくなってしまうだろうから。 「……ごめんなさい」  小さくそう言うのが、精一杯だった。  震える声で謝罪をする。ラインヴァルトさまの手が、宙を彷徨っているのがわかった。  多分、私に触れていいものか思案されているのだろう。 「テレジア。なにか、嫌なことでもあったか?」  彼がそう問いかけてくる。……嫌なことが、あったかどうか。  それは、私にもよくわからない。ラインヴァルトさまがほかの女性と親しくされていて、それがほかでもないコルネリアさまで。挙句、王妃殿下もコルネリアさまのことを認められていて……。
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