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(それは、当然のこと。私がどう思おうが、関係ない)
私がどう思おうが、周囲の反応は変わらない。合わせ、ラインヴァルトさまのコルネリアさまを見る目が、あまりにも優しかったから。私は、どうすればいいか本当にわからなかった。
「なにもないです。……少し、頭を冷やしたくて」
「……テレジア」
「ラインヴァルトさまには、関係ありません」
そうだ。これは、私個人の問題だ。つまり、ラインヴァルトさまには全く関係ない。
私が勝手に嫉妬して、私が勝手に苦しくなっているだけ。……誰も、悪くない。悪いのは、私の心の狭さだ。
「なぁ、テレジア。なにがあったか、本当に教えてくれ」
「……なにも、ないです」
彼が縋るようにそうおっしゃる。でも、やっぱり言葉には出来なかった。
ぎゅっと唇を引き結んで、溢れ出そうになる黒い感情をこらえる。ダメだって、わかっている。
――彼に八つ当たりをするのは、お門違いだと。
「なにもないのです。私が、勝手に苦しんでいるだけですから」
「テレジア!」
「私を一人にしてくださいっ!」
ラインヴァルトさまのお顔なんて、見たくもない。
その一心で、涙目になりながら彼を睨みつけた。……彼の端正なお顔が、傷ついたような表情を浮かべる。
「……ごめんなさい」
それも見ていられなくて、私はその場を立ち去ることにした。
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