第2話

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「……な、にいって」 「ラインヴァルトさまには、コルネリアさまがいらっしゃるではありませんか!」  我慢できなかった。  ラインヴァルトさまに吐き捨てるようにそう叫んで、私はまた涙を拭う。零れて、溢れて、止まってくれない涙。 「コルネリアさまのほうが、ラインヴァルトさまにお似合いです。彼女は、周囲に認められている」  対して、私はどうだろうか。周囲から白い目で見られて、明らかに歓迎されていないムード。  ……そりゃそうだ。一度婚約破棄された娘が王太子妃に……なんて、図々しいことこの上ない。 「私じゃ、あなたのお側にはいられない。……だから、どうか。私のことは、もう放っておいてください」  消え入りそうな声で、そう告げる。  ……本当は、彼のお側にいたい。  その気持ちはあっても、それだけじゃ出来ない。やっていられない。 「テレジア」 「私、もう実家に戻ります。今まで、おいてくださりありがとうございました」  ペコリと頭を下げて、早口にそう言葉を紡いで。  ラインヴァルトさまのお隣を通り抜けようとして――彼に、腕を掴まれて引き寄せられる。  ぽすんと彼の胸に、鼻がぶつかる。驚いて顔を上げれば、私のことを見下ろすラインヴァルトさまが、いらっしゃる。
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