第2話

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「あいつはは、所詮はただの幼馴染だ。本当に腐れ縁」  そんなの、信じられるわけがない。そう言おうとしたのに。言えなかった。  彼が、あまりにも真剣な目をしているから。 「こういう風に触れたいって思うのも、テレジアだけだ」  そうおっしゃったラインヴァルトさまは、流れるような動きで私の頭のてっぺんに口づけてくる。  一瞬で、ぶわっと私の顔に熱が溜まった。 「本当は唇に口づけたい。……でも、今はそういうときじゃないだろ」 「は、はい……」  恥ずかしくて、俯いて、頷く。ラインヴァルトさまは、声を上げて笑っていた。 「なんだろ、テレジアって、本当に可愛い」 「そ、そんなの……」  こんな醜い感情を抱く女が、可愛いわけがない。  そう思う私の気持ちは、どうやら彼には筒抜けだったらしい。彼は、「優しいな」と私に声をかけてくださった。 「テレジアは、他者を傷つけたくないんだよな。……だから、自分を責める」 「……そ、れは」 「けど、俺は嫉妬してくれて嬉しかった。……それは、真実だから」 「し、っと、なんて……」  これは嫉妬じゃない。  そう言おうとした。けれど、やっぱりこれは嫉妬なのだろう。  彼の側にさも当然のようにいられる、コルネリアさまに対しての――。 「気持ちは、しっかりとぶつけ合おうな。片方だけが我慢するなんて、平等じゃない」
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