第2話

76/78
1021人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
 彼はさも当然のようにそうおっしゃって、ウィンクを飛ばしてこられる。  その姿が眩しくて、かっこよくて。……私は、ラインヴァルトさまから視線を逸らす。 「テレジア?」 「み、ない、で、くださいっ!」  ラインヴァルトさまが私の顔を覗き込もうとされたので、慌てて自らの顔を手で覆う。  だって、今の私は絶対に真っ赤だ。そんな顔……彼に見られたくない。 「照れてる? ……可愛い」  でも、彼はさも当然のようにそうおっしゃって、私の頬にちゅっと口づけてくる。 「ひゃっ」  驚いて身を引こうとする。なのに、ラインヴァルトさまは私の身体を引き寄せて、逃げられないようにしてこられる。  背中に回された腕が、まるで私のことを「逃がさない」と伝えているかのようだった。 「本当、テレジアは可愛いよ」  そして、彼は流れるように私にそう囁きかけてこられて、私の頬にもう一度口づけを落とされた。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!