第2話

77/78
1016人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
 その後、私はお部屋に戻ってミーナが淹れてくれたお茶を飲むことにした。  彼女は戻って来た私を見て、表情が明るくなったと喜んでくれた。どうやら、私は彼女にとても心配をかけてしまっていたらしい。 「テレジアさまには、暗い表情は似合いませんからね」  ニコニコと笑った彼女は、私の前にティーセットを置いて、紅茶を注いでくれた。  その近くには王都の有名店から買ってきたという焼き菓子がいくつか並んでいる。クッキーやマフィン、マドレーヌなどなど……。  とても美味しそうで、気が付いたら私は自然と焼き菓子に手を伸ばしていた。 「……美味しい」  マドレーヌを一口かじって、そう呟く。  私のその言葉を聞いたからか、ミーナは「ようございました」と言ってくれる。 「先日からお食事の量が減っておりましたので、なにか食べられそうなものを……と思いまして」 「……そ、っか」  どうやら、ミーナは私のことを相当心配してくれていたらしい。  ……ぽかぽかと、胸が温かくなった。 「あ、そうだわ。お金……」  ふと思い出して、私はなんとかお金を払えないかと考える。でも、ミーナは「必要ありませんわ」と言う。 「お金ならば、ラインヴァルト殿下からしっかりといただいておりますので」 「まぁ」  その言葉に、自然と笑えた。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!