228人が本棚に入れています
本棚に追加
「……なんだか、面白いですね」
ふと、彼の口からそんな言葉が零れた。驚いて顔を上げれば、彼はプイっと顔を背けてしまう。
「変な意味じゃないですよ。……なんていうか、あなたとこうして話しをしているのが、楽しいっていうか」
「……楽しい、でしょうか?」
私と話していて楽しいなんて言われたこと、今まで一度もない。
その所為でちょっと戸惑う。でも、ヴィリバルトさんは口元を緩めていた。
「えぇ、とっても楽しいです。俺は、ですけど」
なんだかちょっと自嘲気味な言葉だった。そのため、私は「私も、楽しいですよ」と言っていた。
「ヴィリバルトさんって、なんか不思議なお人ですし。……なんか、話していて気が楽っていうか」
変に気を遣わなくてもいいっていうか……。
あ、もちろん悪い意味じゃない。
「なんだか、新鮮です……」
小さくそう言葉を零す。思えば、異性とこんな風に話したことも過ごしたこともなかった。
……だから、なんだか。無性に楽しく思ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!