第2話

4/23
前へ
/45ページ
次へ
「……なんだか、面白いですね」  ふと、彼の口からそんな言葉が零れた。驚いて顔を上げれば、彼はプイっと顔を背けてしまう。 「変な意味じゃないですよ。……なんていうか、あなたとこうして話しをしているのが、楽しいっていうか」 「……楽しい、でしょうか?」  私と話していて楽しいなんて言われたこと、今まで一度もない。  その所為でちょっと戸惑う。でも、ヴィリバルトさんは口元を緩めていた。 「えぇ、とっても楽しいです。俺は、ですけど」  なんだかちょっと自嘲気味な言葉だった。そのため、私は「私も、楽しいですよ」と言っていた。 「ヴィリバルトさんって、なんか不思議なお人ですし。……なんか、話していて気が楽っていうか」  変に気を遣わなくてもいいっていうか……。  あ、もちろん悪い意味じゃない。 「なんだか、新鮮です……」  小さくそう言葉を零す。思えば、異性とこんな風に話したことも過ごしたこともなかった。  ……だから、なんだか。無性に楽しく思ってしまう。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加