第2話

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 そのタオルで胸元を拭いていれば、ヴィリバルトさんが残った食器をてきぱきと洗い出す。  手慣れた手つきだった。無駄のない動き。汚れ一つ一つを逃さないとばかりの洗い方。 「上手ですね……」  余計に私の不慣れさが目立つんだけど……と思っていると。ヴィリバルトさんがふっと口元を緩めたのがわかった。 「これも全部慣れです。……大丈夫、あなたには伸びしろがありますから。いずれ上手になります」  優しい声でそう言われて、私は少し戸惑って頷いた。  こんな風に男の人に優しくされたの、初めてかもしれない。 (大体の男の人は、下心があったもの。なのに、ヴィリバルトさんは心の底から親切心だけで行動している……)  それがくすぐったいのに、嬉しい。胸がむずむずとする。 「さて、この後はどうしますか。俺的には、よかったら買い物でも……と思うのですが」  食器を洗い終えたヴィリバルトさんが、私のほうに顔を向けてそう問いかけてくる。  ……買い物、かぁ。 「滞在するにあたって、日用品は必要でしょう。男の一人暮らしだったので、あなたには不便でしょうし」  まぁ、うん。それは、わかる……のだけれど。 「でも……お金が」 「それくらい俺が出しますよ。これでも生活には困っていないので」  彼はあっけらかんとそう言うけれど、甘えてばかりはダメだってわかる。  自立しなきゃいけないことはよくわかっているんだもの。
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