第2話

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「そんな……そこまで、甘えるわけにはいきません」  ゆるゆると首を振って断りを述べれば、彼は顎に手を当てて少し考えるような素振りを見せる。  その後、思いついたようにポンっと手をたたいた。 「じゃあ、こうしましょう。俺はあなたの未来に先行投資したんです」 「……え?」 「あなたが立派になったら、お金を返してください」  彼はさも当然のようにそう言う。私はぽかんとすることしか出来ない。 「……ということを考えたのですが、どうでしょうか?」  なにも言わない私を見て、不安を抱いたのだろう。ヴィリバルトさんが肩を縮めてそう問いかけてくる。  ……このまま突っぱねていても、なにも解決しない。  それに必要なものは必要だ。この提案は、素直にありがたい。 (甘えているわけでは、ないものね)  いずれ返すのだもの。問題ない。 「では、その。そういうことで、お願いします」  ペコリと頭を下げれば、彼は「よかった」と呟いていた。 「折角生活するのならば、快適に過ごしていただきたいので」  口元を緩めて、彼がそう言う。……本気でそう思っているかのような口調に、ちょっと驚く。  だって、こんなにも親切な人がこの世にいるんだって……思わなかったんだもの。
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