独身無所属の一夜

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 ユニットバスつきの安宿に起居していた頃の名残で、洗体の前に湯船にドボンと浸かる。人様の家や公衆浴場ではしないのだが家では無遠慮にできる。この瞬間は、私の全身が暖かいお湯にくるまれたこの瞬間は何度繰り返しても充足した気持ちになることができる。少しお湯の温度が低かったかな?と思ったがそのまま体を沈める。長い髪の毛の先端が濡れていた。湯が冷めて出るのが億劫にならないうちに早めに浴槽から出てシャワーで髪を洗った。ドライヤーで髪を乾かしながら手でといていると何度も引っかかる。デジタルパーマで髪の先端が傷んでいることを実感する。  温い部屋にもどりパジャマとハンテン、靴下で体温を逃さないようにした。お寿司の残りを食べていると、温かいものが欲しくなる。500wのレンジで1分10秒チンしたあとだし入りみそを一匙入れてまた椅子に戻る。 最後の一貫がなくなるとしばらくまどろみの時間に入る。  猫がニャーと鳴いて目を覚まししてくれたので猫を撫でつつ洗面所に移動しやたらと時間のかかる歯磨きをする。歯間ブラシ、矯正ワイヤーと歯の隙間を磨く専門の歯ブラシ、電動歯ブラシ。まあ、毎回完璧に磨かなくてもいいのだから、と思って気を軽くする。  さて、今日のすべてが終わった、帰宅後のタスクは終わったと達成感に浸っていると猫が駆け寄ってくる。繰返したまを投げて遊んでやると、猫がヒートアップしてきてまるでマイケル・ジョーダンがダンクシュートを決める見たいな飛び技を披露する。しばらくすると猫は疲れて、ぱたんと身を休めた。その間私は眠くなったので思い切って暖房を消して、明かりを暗くし、布団に潜り込んだ。寂しいので携帯を片手に持ったまま。猫はまた遊びたくなったらしくドアの前でニャーニャー泣いていたが、しばらくすると観念してちょうど熱源である私の真上になるように毛布の上で身を丸くした。ラインは誰からも来ておらず、ラインを開く度に頻繁に開いてしまう自分のバカバカしさを痛感する。待ち遠の返信がなく落胆するたびに見る頻度を減らしたい、と常に思っているのだがなかなか実践できない。 自然な眠気が来るまで心と体をゆっくり休めてくださいね  なんの下りかは分からぬが、つけっぱなしのテレビからアナウンサーの心温まる言葉が聞こえてきて、身にしみた。一人暮らしでは誰にも声をかけてもらえない日がある。目をあけるのが面倒くさくなり眠った。
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