①見つかった……

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 さわやかな笑顔に隠された欲望を思い、身を震わせた。  それでも、この状況は自業自得だった。  下着姿でベッドに腰かけ、うつむいてたら、顎をすくい上げられた。  視線の先には、目を細めた木佐さんがいた。  まだ湿った髪が額に下りていて、バスローブ姿がやけに色っぽい。 「最後は俺に脱がす楽しみを残してくれたんだ?」 「違います!」  含み笑いをされて、ブンブン首を横に振る。  木佐さんはそれに構わず、私の髪をひとふさ手にとってなでるように梳いた。 「まっすぐで綺麗な髪だね」  私の髪は直毛で、パーマもカラーもすぐ落ちてしまうぐらい。  仕方ないから、真っ黒の髪を肩下まで伸ばしている。  ──(あおい)は本当に髪が綺麗だね。  そう言って優しい手が髪を(くしけず)ってくれたのを思い出してしまう。  慌てて記憶に蓋をすると、木佐さんが隣に座ったところだった。  彼はもう一度、私の髪を手にとり、今度はそれに口づけた。 「宇沙ちゃんのこの黒髪に白い肌が映えて、グッとクるよね。さわってみたかったんだ」  いきなり顔のそばに熱い瞳があって、私は固まったまま、木佐さんを見つめた。  トンッ  予告もなく押し倒された。  ぱさっと髪がシーツに広がる音がした。  木佐さんが乗り上げてきて、両手を私の頭の左右についた。  彼の端正な顔が下りてきて、キスされると思った瞬間、ギュッと目を閉じた。  木佐さんの吐息が顔にかかった。  なのに、唇にはなにも触れず、耳もとに口づけられた。  驚いて目を開けると、木佐さんは男の人にしては繊細な長い指で、私の髪を耳にかけると露出したそこを舐めた。 「あ……」  生温かい舌が耳殻を沿うように移動していき、ゾクリとする。  ペロペロと耳を穴の中まで舐められる。 「あ、あ、ん……」  ただ耳を舐められてるだけなのに、ゾワゾワした身悶えするような快感が湧き起こって、慌てて唇を引き結ぶ。 「感じやすいね」  ふっと笑った吐息が湿った耳にかかって、それも刺激になって、身をすくめる。 (感じやすいはずないのに)  将司さんによると、私は感度が悪いらしい。  耳を堪能した木佐さんの唇は、首すじを這っていった。
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