3201人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
⑮そんな変態じゃない?
──この関係を終わりにさせてください。
言うだけ言うと、悲しくなって目を閉じた。
他人のものじゃなくなった私を木佐さんはどう思うだろう?
つまんないな、なんて顔をされたら、心が壊れそう。
だから、見たくないと思った。
「やだよ」
「えっ?」
予想に反して拗ねた声がして、思わず、目を開けてしまった。
声と同じく、木佐さんの拗ねた顔が目の前にあった。
(この都合のいい関係を続けたいってことかしら?)
そう思ったら、私を囲うように木佐さんの腕が身体に回された。逃さないとでもいうように。
「なんでやっと宇沙ちゃんが俺だけのものになるというのに、手放さないといけないの?」
コツンと額に額を当てて、木佐さんがつぶやく。
その声は想像していたものと違って、切なげだった。
(俺だけのもの?)
「え、だって、木佐さんは他の男の人の匂いがするのがいいんでしょ? 木佐さんを見向きもしない人が」
びっくりして問いかけると、彼は苦笑いした。
「いいや? 普通に嫉妬メラメラだったけど?」
「嫉妬?」
(え、待って! なに言ってるの?)
驚愕した私は木佐さんを凝視した。
そんなこと言われたら、勘違いしちゃう。都合よく解釈しちゃう。
なのに、木佐さんはにんまりと細い目で笑った。
最初のコメントを投稿しよう!