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貴女に親友と言ってもらえて、
「恵先輩、その口紅素敵ですね!」
食後の御手洗、メイク直しをしている歳に会社の後輩に言われて、私は「あぁこれ?」と手の中の口紅を見つめる。高校の時から何度も買い直してずっと使っているその口紅を、後輩はキラキラした目で見つめてきた。
「綺麗な赤色……! でも恵先輩のパーソナルカラーじゃないですよね? 何かこだわりでもあるんですか?」
「こだわり、ねぇ……」
恵は言葉を反芻する。俯いて、黙った。
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