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プロローグ
これは、作者が経験した路上生活の記録を元に作られたものである。
マサオは今、財産、仕事、交友関係の全てを投げ出し東京に戻っていた。
いつからだろう。
ある日を境に職場には向かわず、各地を転々としていた。しかも誰にも無断で。唯一自宅に「必ず戻る」と書き置きを残したまま。
ハラスメント、仕事の不出来、周囲との比較、休日出勤の連続、色々重なり自分の存在価値というものを見出さなくなり、自殺願望が日々大きくなっていった。
その結果死に場所を探して飛び出したのであった。
しかし、どこへ行っても直前で上手くやれない自分がいた。
オェェェェ!ハァ、ハァ、ハァ、
大量の市販薬にアルコール、所謂オーバードーズを用いての自殺を試みたが、酒に元々弱かったため嘔吐して失敗。
ウゥゥゥ・・・バチン!ドサッ!
ネクタイでの首つを敢行したが、ネクタイが体重に支え切らずに千切れて失敗。
"仕事もできなきゃ、死ぬ事さえも出来ないのか・・・"
マサオはそう考える事しか出来なかった。
一泊1500円前後の民泊に連日泊まっていても出費が重なる始末。
"なら、路上で生活した方がいいのではないか?それにそのまま野垂れ死ぬ方が一石二鳥だし。"
そう考え、チェックアウトを済ませ路上へ飛び出した。
しかしその慣れない地では、いや。その地の路上生活者は他所者を受け入れてくれるほど優しくなかった。
「ん?なんだあれ。旅行者か?こんなとこ通っていくなよ!」
そう苛まれ、テリトリーである公園を大荷物で横切っただけで睨まれる。
更にはそのまま後をつけて来る輩まで。
これが毎日続くと思うと、気持ちよく満足して死のうにも死ねない。
なら、いっそのこと知ってる地に戻って・・・!
そうマサオは決心した。
ただし、やり直す為の奮起ではなく、野垂れ死ぬつもりでの帰京として・・・・・
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