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プロローグ
全てが荒廃したこの世界に僕はただ…一筋の閃光をみていた。そう呟いた少女が見詰める先にあるものは…一羽のカラスと大きな鳥居だけだった。
僕には前世の記憶がある。殺人鬼「森崎綾音」2012年の秋に渋谷を騒がせた連続通り魔事件。その犯人は他ならぬこのボクだ。そして…ボクはあの日全てを超越した先にキミを見付けた。
その世界の中で眩しく煌めくキミはボクの希望だったんだ…。そう二条に問いかけた少女は何処か物憂げで…懐かしい匂いがした。
蝉の声もしなくなった秋の夕暮れ…アイスが夕闇に照らされて溶け落ちる。彼女はそれを冷笑した目で見詰めながら…パクりと口の中に入れた。
数年前の夏…彼女はTVで騒がれていた。連続殺人鬼「森崎綾音」として…連日連夜TVで騒がれて一躍時の人となった彼女はそのニュースを見ながら何処か誇らしげな気持ちだった
そして…捕まることは無かったその少女の最期は呆気なかった。帰り道…次のターゲットを探す過程で立ち寄ろうとした本屋。彼女はそこでなんの前触れもなくこの世界から旅立った
何が起きたか彼女自身もわかっては居なかった。そう秋の夕暮れが赤く染まるあの空の下で1人の少女は短い人生に終止符を打ったのである。
それから数年がたったある日…彼女は再びこの世界に「生」を受けた。生まれながらに殺人鬼「森崎綾音」の「記憶」を宿したその少女は「美亜」と名付けられた。
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