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捜索者
ノエが、居なくなった。
「ノエ!!ノエー!!」
俺が、殺した獣人を処理している間に、ノエが居なくなってしまった。
屋敷の中を探しても、周辺を走り回ったけれど見つからなかった。
匂いを辿ろうにも、血と肉の匂いで鼻が効かない。
彼女の足で、この森を抜け出すには時間が掛かるはずなのに、一晩中探しても見つからなかった。
その代わり、森では、狼や犬、熊の匂いがした。
「ノエ……」
彼女は、この世界で、たった一人の人間だ。
連れ去られたのかもしれない。
麓の監視カメラの映像を入手すると、軍の車が確認された。
「……特殊部隊?何の為に、何もない山に?……軍か……待っていて、ノエ、必ず迎えに行くよ」
俺の大切な人を返して貰う。
俺たちは、一緒に居ないといけない。
ノエは特別で、唯一であり……俺が必要なんだから。
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