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それから、私と天水は住む場所を転々としながら暮らしているのです。
姫として暮らしていた時に比べ、不自由なことはもちろんございます。しかし、天上界に帰りたいと思ったことは一度もございません。私自身の理想の人生を送っているのですから。
──天上界からの追手ですか?
今のところ遭遇したことがないのですよ。
──えぇ、そうですね。追手が来ないのはおかしいですよね。私もそう思います。
もしかしたら、父は千里眼を持っているのかもしれません。その千里眼をもって私の心と天水の心を見抜き、こうやって共に生きるように仕向けたのでしょう。
──そうでございますね。私と天水は、今でも父の手の上で転がされているのでしょう。
あぁ、言い忘れておりました。私が”かぐや姫”だと知った者は、皆、闇夜に飲まれて消えてしまうのですよ。きっと、父が、私共が少しでも生き易いようにと配慮してくださっているのでしょう。
明日は満月ですし、お気をつけくださいね。
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