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"うわっ、爆殺狂だ"
"ッ最悪……!朝から見かけるなんて…"
"あれが噂の魔物ボマー?"
"見た目はフツーなんだな。もっとイっちゃってる感じかと思ってた"
"でも全然そう見えないのも、逆に不気味…
召喚した魔物を爆発させたとかさ…"
2年時の召喚術実践授業の結果、僕には様々な呼び名ができた。
でもそれらは全て、異常犯罪者へ与えられる蔑称のようなものだった。
"そういえば明日、原因調査のために召喚するらしいよ"
"マジかよ。また爆発させんのかねー?"
校医から処方してもらった薬で、無理やり眠りについた翌朝。
酷い気分のまま迎えた召喚実施日は、やけに快晴だった。
まず僕が用意した魔方陣を教諭が使い、異変が無いか確認してもらうところから始まった。
何事もなく先生による燐蝶の召喚が終了した後、僕も同じ魔方陣で召喚に入った。
ゴクリ…
門が繋がってから召喚までに、やけに時間がかかった覚えがある。
それでも魔方陣内に現れた、青い蝶。
半透明の蝶はちらちらと燐光を落としながら、その場でゆったりと羽ばたきを繰り返していた。
そして。
5分経過しても魔物に異変は見られなかった。
ただ手に止まるように指示を出しても、何事もなかったかのように佇まれたのには少し焦った。
仕方なく自分から手を近づけると、蝶の魔物はフラフラとそれを避けた。
そしてなぜか僕の頭の上に止まったらしい。
蝶が視界から消えて慌てたが、外部研究者の一人から「頭に乗っただけだ。そのままじっとしていろ」と声を掛けられた。
そこで僕は仕方なく魔物を頭に乗せたまま、いくつか簡単な命令を出した。
今度はすんなり指示に応じてくれたが、先生が召喚した時と比べるとワンテンポ反応が遅い気がした。技術とか経験の差なんだろうか?
そうやって、もう10分ほど様子をみた。
結果。
その日、異変が起きることはなく、召喚は無事終了したのだった。
そして何故か、それ以降の召喚でも異変が起きることはなかった。
何度か調査のための召喚が行われた後、学校側は「一時的で限定的な事象だった」と判断し、召喚行為の制限を取り払った。
ただ念のためと他生徒への配慮のため、僕の2年次の召喚術は個別授業になったけども。
「y君おまたせしました…!」
その声に、僕は召喚取消練習を取りやめて召喚室の入口へと振り返った。
するとすかさず、頭や肩に何かが乗ってきたのをごく軽い衝撃によって把握する。
いつものことなので、僕はそのまま気にせず戻ってきた先生の方へ向き直った。
「いえ、全然大丈夫です。」
個別授業は主に放課後に行われるため、先生は他用で席を外すこともしばしばあった。
もったいないので僕はその待ち時間を、精神訓練や召喚取消練習に費やしていた。
「あとこれ、頼まれてた文献です。返却は2周間位でも大丈夫ですか?」
「ありがとうございます…!2週間で大丈夫です。」
文献を受け取ろうと歩み寄ってきた僕を見つめて、先生は眼鏡の奥の目を少し見開いた。
「それにしても…
(中略①)
※この後、作者的にとっても面白いシーンが来るんですが、
少々核心に触れる場面なので、中略としました…
ぼっち的に「話の肝」部分までAIに学習されると困るので、
この(中略①)部分は
スター特典で閲覧できるようにさせていただきます~
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