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副調整室では・・・。
「おい、マジでえらいことになってきたで」
「これ 案外おもろいかもしれん。ウケるで。とりあえず 撮っとこ」
二人とも眼の縁が赤くなっております。
「あの、僕、ヘソの脇にハート型のホクロあります!」
「そうやろ!そらそうや!私の子やねんもん!ちょっと 司会者さん 顔見てもわかるでしょ!私らそっくりでしょ?親子の顔してるでしょ!」
「そ、そうですねぇ・・・よう似てはりますなあ」
「お母ちゃん!」
「 ツヨシ!」
二人の間でオロオロしているアップダウンを押しのけ、2人は ガシッと抱き合った。
もう誰も引き離すことはできないほど強く抱き合った。
会場からは大きな拍手とすすり泣きが沸き起こる。
「えっと、予定外のことが起こってしまって・・・どう続けたらええのかよう分かりませんけど・・・」
と副調整室の方をチラリと見ると、プロデューサーがガラス越しにOKサインを送っている。
「会場の皆さん この2人、親子やと思います?」
会場の視聴者からは大きな拍手。
「えっと それではですね、後日改めて DNA 鑑定はさせてもらいますが、でも今日のところはめでたく、親子 の再会大成功ということにさせてもらいましょう!
飛び入りで現れはったお母さん、そして苦労して立派に生きてきはったツヨシさん、おめでとうございます!」
副調整室では、ディレクターが
「これはこれでおめでたいからええねんけど、最初に応募してきはった方のお母さん、どないします?」
するとプロデューサーの村上が
「ちょっと俺があの出演者さんに謝ってくるわ」と言い置いて副調整室を出てステージに向かった。
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