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「あ"ー……やっと帰れる……」 連勤続きでさっぱり休めなかったパンツスーツの女がようやく明日休みを貰えた事に安堵した瞬間ガクリと冷たいコンクリートの地面に泡吹いて崩れ落ちた。 「お疲れぃ!」 「あんた…なんでそんな楽しそうなのよ?」 「ふふ〜っ、今日デートなんだぁ♡」 「……腹立つ」      地獄の決算会議を終えてクタクタになって歩いてた帰り道。 まるでドラマのように偶然曲がり角で出くわした高校の時からの友人で今でこそ親友の『萌子(もえこ)』が私を見つけるなり抱きついてくるから何事かと思って聞いてみたらこれだ。 聞くんじゃなかった。後悔してももう遅いけどさ。 「怒っちゃいやん」 「別に怒っちゃいないわよ」 「うわー…言ってる事と表情が合ってな〜い。怖っ」 「…萌子、私今本当に疲れてるのよ。ちょっと静かにして」 「うんうん、おっけー!静かにするっ!…あいかわらず忙しかったみたいだねぇ」 「毎日ってわけじゃないんだけどね。皆の時間がたまたま揃わなくて今日はいつも以上に時間がかかって……って、ごめん萌子、愚痴った」 「いいよー、いっぱい愚痴って。ストレス溜めすぎると疲れちゃうからね。親友の話しを聞くのは親友の仕事!なんちゃって」 「ぷっ、なにそれ。…ありがと」 ペロッと舌を出して笑う萌子につられて笑っていると、少し遠くの路肩に停まっていた車の中から見覚えのある人物が出てきてこっちに向かってにこにこと手を振っているのが見えた。 その人は萌子が働いてる店で働く同業者で萌子の3つ歳上の彼氏 穂波(ほなみ)さんだった。2人はトリマーをしてる。
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