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「ただいまー…って言っても誰もいないけど」
でもつい言ってしまうのは実家に住んでた頃からの癖なんだと思って諦めてる。
苦笑いして背中を後ろ向きに座って靴を脱いでると、
「おかえりっ!」
「…………ん?」
なんか後ろから聞こえてきたような気がするけど気のせいよね?
だって私一人暮らしだし。返事が返ってくるわけないじゃない。
落ち着かせるように自分にそう言い聞かせて脱いだ靴を下駄箱に入れる。
「ちょっと、おかえりって言ってんじゃんよ。なんか言ったら?」
気のせい気のせい気のせい。
見えない声に怒られてる気がするけど絶対気のせい。だって何回も言うけど私一人暮ら「しっ…!!?」
グイッと無理矢理顔を上に向かせられたかと思うと今にも唇がくっついてしまいそうな距離にそいつの顔はあった。
「おかえり」
「……た、だいま…………」
「うんっ、おかえり〜」
「…………なんで、あんたが私ん家に居るのよ?….あと首痛いんですけど」
至近距離。目の前に居たのは切っても切れない縁深い相手、誰よりも昔からの知り合い…つまり生まれた病院から家も隣同士でずっと一緒に居た幼なじみの男子、
だけど絶対ここには居ないはずの男子、薬袋 凛矢だった。
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