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「勝手になに決めてんのよ!許さないわよっ」
「怒んない、怒んない。あ、ほら、葉子の好きな歌番組やってんぞ」
「話逸らさないでよ、ってか勝手に人ん家……」
そこまで言いかけてカーテンのしまった窓近くにドンと置かれた存在感ある唐草模様の風呂敷に目が止まった。
「……な、何よ あのでかい風呂敷」
それはまるで昔話に出てくる泥棒がかついでるようなやつそっくりで、風呂敷の縛り口からはみ出したトランクスを見るかぎりどうやらそれは凛矢のキャリーバッグのような物らしく見えた。
「まさかあれかついで来たの?」
「おん」
「『おん』って…嘘…嫌だ……バカじゃないの。車は?」
「修理中。バイクにトランク乗せらんねぇから背中に背負ってバイクで来た」
「あー、そう……。…馬鹿かお前?」
「女の子がお前とか言わん方良いぞ。おっかねぇ女!って男らは逃げてくから」
さぞかし凛矢の後ろにいた車の人は何事かってびっくりしただろうな…。…って違う違うそうじゃない。
危うく凛矢のペースに流されて許してしまうところだった。
「あんた、いつまでうちに居る気?」
「さぁ」
「さぁじゃない。ずっとはやめてよ」
「なんで?」
「なんでって…」
「彼氏居んの?」
「居ないけど」
「なら良いじゃん。誰にも迷惑かけるわけじゃないんだし、幼なじみ同士仲良く暮らしましょうよ」
「暮らしましょうよじゃないわよ。私に迷惑かかってんですけど?」
「ん、だいじょーぶ!」
ぶっ飛ばしてやろうか?
ソファーの上で寝っ転がったこいつを宇宙の果てまでぶっ飛ばしてやろうか?なぁ?おい?
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