歳時記カフェ

【プロローグ】

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・【プロローグ】
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「寧（ねい）、何書いてるの？」
　テイが私に話し掛けてきたので、
「今、私たちのカフェに初めて来る人用の説明文を書いていたの。ほら、町内でパンフレット作るって言ってたじゃない？　あれの文章を書いているの」
「俺も手伝わなくていい？」
「大丈夫、テイはしっかり鍋の様子を確認していて」
「俺は寧の様子を確認するほうが好きなんだけどな」
　そう言って笑ったテイ。
　テイったらいっつもこんな調子。まあそれが心地良くもあるんだけども。
　そんな会話をしていると、ペットの幻獣・クラが眠気まなこをこすりながら、こう言った。
「僕も何か手伝おうか、ほら、寧が母国語を使えなくする魔法を掛けてあげるよ」
「絶対止めて。今、ちょうど日本語で文章書いているから」
「まあ確かに寧は母国語以外使えないだろうから、そんな魔法を掛けちゃったら身振り手振りだけになるね」
　そう言って意地悪そうに笑ったクラ。
「あんまりそういうことばかり言わないのっ、私だってやれば何でもできるんだからねっ」
　私が軽くツッコんでおき、また文章を考え始めた。
　えっと、テイと寧の夫婦が営んでいるカフェで、幻獣のクラがマスコット。料理は人並みだけども、温かい雰囲気を提供します、と。
　全然文字数が埋まらない。思い切って英訳でも付けてみようかな。
　だから、えっと……『ｙｅａｈ，　Ｌｅｔ’ｓ　ｐｌａｙ　ｃａｆｅ』……やっぱり止めよう、これしか浮かばなかったから。
　自分のアホさに若干落ち込んでいるとテイが近付いてきて、こう言った。
「疲れたらリフレッシュしなきゃダメだよ、レモンバームの丸かじり、する？」
「しないわ！　レモンバームは丸かじりって言い方もしないし！　サラダに混ぜるだけ！」
　こんなメンバーで毎日楽しく生活しています……じゃ、文章にならないか。う～む。