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階段を上り、二年棟の掲示版を確認する。
「数学はE組か」
私は、いつもとは反対方向の廊下を歩いた。
E組の扉を開けると、数人の生徒が机に座っていた。私は目立たないように、人のいる後ろの方の席を確保した。
先生が来る前に机にテキストとノートを並べていると、ガラガラガラと豪快に扉が開いた。
「良かった!間に合った!」
その子は、大きな声と大きな歩幅で歩いてくる。
確かこの子は、涙本 光ちゃん。ショートヘアがよく似合う、前髪ポンパの女の子。頭が良くてはきはきしてるため先生受けは良いが、あまりにも個性的なため単独行動が多いと聞いたことがある。
どうしてそんな子が、補習に参加しているのだろう。
不思議に思っていると、光ちゃんは私の隣に座った。
「見て見て、ビーズびよよーん」
彼女はそう言い、私に眩しいくらいの笑顔を見せた。
私は戸惑い周囲を見渡す。気づいたら、近くにいた人たちの姿が遠ざかっていた。
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