第四章「蒼井風花の復讐」-5-

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 ナースステーションは風花一人となった。黙々と作業を続け、10人分の点滴をワゴンに乗せる。  ポケットにPHSがあるのを確認し、ワゴンを押してナースステーションから出て行く。  病室を回り、点滴のラベルと患者のリストバンドのバーコードが一致することを確認し、点滴を交換する。  全員分の点滴交換し終え、実施者が自分であることを証明するために電子カルテで自分の職員IDを入力する。  ナースステーションに戻り、ナースコールボードの前に立った。 「……」  お願い、鳴らないでね。  心の中で祈る。  しかし、無情にもナースコールボードに表示されている、とある患者のネームが点滅した。  風花は身をひるがえし、その病室へと走った。
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