第四章「蒼井風花の復讐」-6-

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 御堂が続けて返答を促してくる。「おい」と杵島が困惑した様子で御堂と風花を見比べる。 「私は……」  どうして今更そんなことを聞いてくるのだろう。当たり前のことをそんな真剣に聞かないでほしい。問われると、わからなくなる。  私は誰だっけ……  杵島大地に愛された蒼井風花?  片瀬颯太に愛された蒼井愛奈?  風花は血の気が引いていく感覚がして、言葉を噤む。  突き刺さるような御堂の視線を感じて、この場から逃げ出したくなった。  その時、隣にいた杵島が一歩前へ進み出た。 「コイツは蒼井風花。俺が生涯かけて愛し守り抜くと決めた女だ」  一点の曇りも迷いもなくそう言ってくれた。  その言葉に風花は胸に手を当て、そっと頷く。顔を上げた瞬間、涙がこぼれた。  そうだ。私は蒼井風花。  ずっと生まれた時から、私は私一人。今までもこれからだって、他の誰でもありはしない。 「蒼井風花です。愛奈(あいな)を……私の姉を救ってくださって感謝しています。愛奈(まな)さんが命を繋いでくれたおかげで、あの子は人を愛し、愛されることが出来ました」  その言葉を聞くと、厳格そうな御堂の口元が微かに綻んだ。 第四章「蒼井風花の復讐」(了)
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