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でもなんだかそれ以降、タガが外れてしまったように毎晩求められるようになってしまった。嫌ではないけれど、翌日長時間の手術を控えているはずの夜でも颯太さんは構わずだから、少し心配になってしまう。一度、翌日の仕事に支障はないのかと聞いたら、「全然。かえって調子いいよ」と言われた。……そういうものなのかな?
颯太さんと再会してから、彼からたくさん与えてもらったものがある。愛情と幸せ、夫婦という確かな証と指輪、これから建つ私たちの家。一生を過ごしたいと思えるこの町もそう。
それでも、私はとても欲深くなってしまったのだろうか。
まだもっと欲しいと切実に願ってしまうことがある。
彼との子どもだった。
こんなに回数が多いのだから、自然に妊娠できるかもしれない。そう期待していたけれど、なかなか期待通りにはいかなかった。
毎月、生理がくるたびに重いため息をついてしまう。
今月も、ダメだったか……。
そんなふうに落ち込んでいたある日、颯太さんに「もしかして子どもが欲しいの?」と言い当てられた。
「うん。颯太さんがまだ早いと思ってるなら、今じゃなくてもいいんだけど……」
「俺はすぐにでも欲しいと思ってるよ。俺と愛奈の子ども」
数年前のクリスマスイブの夜から、ずっと望んでいたと彼は言った。私と同じ気持ちでいてくれたのだと嬉しくなったけれど、申し訳ない気持ちにもなった。
「もしかしたら、子どもが出来にくいのかもしれない」
ずっと不安に思っていたことを口に出してしまうと、さらにその不安は大きくなった。
「病院に相談したほうがいいかな」
「うーん」
デリケートな問題なので即答せず、少し考えてから答えてくれた。
「もちろんその選択も正しいとは思うけど、まあその前に少し生活を改めようか」
どういう意味だろう。私は瞬きをして颯太さんを見つめたけど、彼はただ微笑んでいた。
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