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それからすぐ、私は自分が妊娠していることに気づいた。
あんなに欲しいと願った時は授かれなかったのに、颯太さんに相談したらこんなに早く子どもができるなんて、いったいどうしてだろう?
妊娠したことを告げると颯太さんは私以上に喜んでくれた。
「もしかして魔法でも使った?」
私が尋ねてみると颯太さんは肩を竦めた。
言われてみれば、当たり前のことをしていただけだった。
規則正しい生活をして、バランスのとれた食事をとり、外でストレスの少ない交流を楽しむ。そして何より、ちゃんと彼は私が妊娠しやすい日を把握してくれていた。その夜を待っていたのだという。これまでの多すぎた夜の行為も、あまりよくなかったらしい。颯太さんはそのことをわかっていたのだが、求めるのを押さえられなかったと白状した。
さすがお医者さん……というべきなのだろうか?
後日、私と颯太さんは妊娠の報告をしに風花たちのもとを訪ねた。
「愛奈に赤ちゃんできたの?!」
風花はとても驚いていた。そして隣にいた杵島先生と顔を見合わせた後、にっこり微笑んで「おめでとう!」と喜んでくれた。
「もしかしたら、この子と誕生日一緒になるかもね!」
とお腹を押さえながら風花が言った。その言葉で風花も妊娠していることが発覚した。
私と風花は手を合わせてお互いの幸せを喜び合った。
「もしかして、きみらがやった日って8月15日? あの夜、俺たちすごかったんだよ」
颯太さんはたまにデリカシーのない発言をする。私が颯太さんを肘で突いてたしなめると、風花が首を傾げながら杵島先生を見た。
「うーん? いつできたかわからないんだよね。だって毎晩、大地が乗っかってきてたし」
「風花! 頼むから人聞きの悪い言い方するのはよせ……!」
杵島先生は赤くなりながら風花の口を手でふさいだ。
私は颯太さんに翻弄されっぱなしだけど、風花は杵島先生を翻弄しっぱなしみたい。双子なのに全然違うんだねと私たちはそれぞれ顔を見合わせあい、笑った。
これからもこんなふうにきっとずっと私たちは幸せだ――
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