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第1話 わたし
両手を縛られ、まばらにインドワタノキの巨木が生えた荒野を、ピックアップトラックの荷台に乗せられて運ばれていく。
荷台には自動小銃を膝の上に置いた二人の男が、わたしと向かい合わせで乗っている。
わたしの命もここまでなのか。
国際通信社の記者であるわたしは、ここインド北東部で女性や子どもへの人権侵害事件をテーマに取材をしていたが、武装グループに拉致されてしまった。
――慮辱され、殺されるのか。
恐怖よりも悔しさが、心を占めていた。
わたしは死にたくなかった。
頭の中に、日本にいる一人娘の千晶の顔が浮かぶ。
この男たちの前で千晶のことを思いたくなかったので、懸命に考えまいとした。
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