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昨日の夜のことも、突然だった。
家での夕食中、パパのスマホに、ママから電話があった。
パパは、ダイニングテーブルから離れ、自分の部屋で一時間近くママと話していた。
パパが居間に戻ってきた時には、あたしも祖父母も食べ終わっており、パパの分の料理は冷め切っていた。
「ママが、久しぶりに千晶に会いたいって言うんだよ」
「えっ、ママ、日本に帰ってきているの?」
「ああ。でも明日の夕方には、また飛行機で外国に行くと言っていた」
「いいよ。そんな忙しい会い方をしても、楽しくないから」
素っ気なく答えると、パパはあたしの肩に手を置いてゆっくりと話した。
「ママに会っておいで。
パパと離婚しても、お前にとっては、たった一人のママだ。
とても疲れている様だったし、会ってあげて元気をつけてあげなさい」
パパは真面目で優しい人だ。
あたしは、気が進まなかったけど、パパの言葉に従った。
パパは、あたしのために、苦労している。
おばあちゃんもおじいちゃんも、あたしに気を使ってくれている。
でも、ママは……。
運転しているママの横顔をチラッと見た。
ママの視線があたしに向かないうちに、視線を助手席の窓の外に向けた。
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