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この道は、小学生の頃の通学路。
延々と続く広い水田と、大きな河に挟まれた道だ。
助手席の窓の外、ガードレールの向こう側に河が流れている。
「あれっ? 河の水……」
河の流れは穏やかだったが、あたしの記憶よりも水量が多い。
「上流で大雨が降ったようね」
今年の夏は、日本中でゲリラ豪雨や爆弾低気圧が起きている。
「ママ。これからどこに行くの?」
「久しぶりに家に帰って掃除をしたの。
ずっと日本にいなかったからね。それでね。
家で千晶と一緒に昼食を作りたいと思っている」
――家……。あたしたち家族が住んでいた家。
離婚の時、財産分与でママだけのものになった家。
自分勝手、鈍感!
押さえていた怒りが心を満たした。
フロントグラスから空を見上げると、いつの間にか真っ黒な雲に覆われていた。
稲光がパッと走った。
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