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第4話 死神の吐息
パンッと音がして、あたしのシートベルトが外れた。
ママが自分のシートベルトを外しているのが見えて、あたしのシートベルトを先に外したことが分かった。
ママは助手席のあたしの方に身を乗り出し、グローブボックスを開けてモンキーレンチを取り出した。
「ママ!」
「ペットボトルの中味をすぐに捨ててふたを閉めて!
浮き輪の代わりに使うのよ」
ドアの隙間や足元からドンドン水が入ってくる中、あたしは急いで二本のペットボトルの中味を捨ててふたをしっかりと閉めた。
「フロントグラスを割るから体をドア側にめいっぱい寄せて。
ペットボトルを離さないで」
車内に入ってくる水は、膝元まで来ていた。
体を窓側に寄せると、窓半分のところに水面があった。
「いくよ!」
ママの声に、空のペットボトルを胸にギュッと抱きしめ、足を踏ん張った。
ママは体を半身に構え、右手でモンキーレンチを左肩に振り上げると、バックハンドでフロントグラスの左、ど真ん中、右と三点に叩きつけた。
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