第4話 死神の吐息

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大きく息を吸い込んだ。 外に出て、息が出来るようになって命がつながったのに、静かだった水中より、怖いと思う気持ちは増していた。 あたしのすぐとなりにママが浮かび上がった。 「ママ! これ!」 あたしはママに声をかけ、ウーロン茶のペットボトルを手渡した。 「千晶、ペットボトルを胸に抱えて、仰向けになって力を抜きなさい。 河の流れに身を任せて同じ姿勢を保つの。 水を飲んでもパニックにならないで!」 ママは、あたしに見せるように、両手でペットボトルを両手で胸に抱えると、仰向けになった。 あたしもママのまねをして、ペットボトルを胸にギュッと抱えて、仰向けになり、河の流れに身を任せた。 身体は、グングンと流され、ひっきりなしに水が顔にかかった。 仰向けで見上げる空は、黒雲や金色の乳房雲など影も形もなく、青く澄み渡っていた。 美しい空の色。 でも、『きっと死んでしまう』という予感を少しも和らげてはくれなかった。 指が震え始めた。 もうペットボトルを持っていられない。 ペットボトルを離したときが死ぬときだ。
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