第1話 わたし

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でも、どうしても考えずには、いられない。 「おい、空を見てみろよ」 男のひとりがもう一人に、そう言った。 わたしもつられて目だけを動かし、空を見た。 いつの間にか、空を覆うほどの巨大な真ん丸の雲が浮かんでいた。 「すげえな。でかいおっぱいみたいだ」 男のひとりが下品な笑いを浮かべて、つぶやいた。 わたしは、雲を見続けた。 丸く大きな雲がゆっくりと反時計回りに、回っていたからだ。 男たちは、もはや雲への関心を失くし、マリファナ煙草を吸い始めた。 雲の回転速度は徐々にあがっていき、地上にも風が吹いてきた。 ――もっと早く、もっと早く回って!  心に、ある予感があった。 日本にいたころ、テレビで得たこの雲についての知識。
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