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でも、どうしても考えずには、いられない。
「おい、空を見てみろよ」
男のひとりがもう一人に、そう言った。
わたしもつられて目だけを動かし、空を見た。
いつの間にか、空を覆うほどの巨大な真ん丸の雲が浮かんでいた。
「すげえな。でかいおっぱいみたいだ」
男のひとりが下品な笑いを浮かべて、つぶやいた。
わたしは、雲を見続けた。
丸く大きな雲がゆっくりと反時計回りに、回っていたからだ。
男たちは、もはや雲への関心を失くし、マリファナ煙草を吸い始めた。
雲の回転速度は徐々にあがっていき、地上にも風が吹いてきた。
――もっと早く、もっと早く回って!
心に、ある予感があった。
日本にいたころ、テレビで得たこの雲についての知識。
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