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「ここは日本だよ」
あたしは、モンキーレンチをグローブボックスに戻した。
よく見ると、車にはオーディオセットは無く、ラジオだけだった。
「ラジオ付けるね」
地元FMにチューニングして音量を上げる。
重苦しい空気の中、ラジオからシュ―プリームスの「恋は焦らず」が流れた。
なぜ、あたしがこの古い曲を知っているかというと、『英語の歌! 合唱コンクール』の時に、クラスで歌うはずだったからだ。
でも、コンクールの前に転校してしまった。
パパとあたしは二人きりになってしまったために、パパの実家に引っ越したからだ。
だから今は、パパと祖父母と一緒に暮らしている。
中二の秋に転校したことは、あたしにとって最悪だった。
教室の空気は、高校受験一色に染まっており、転校生と友だちになろうとする子は、ひとりもいなかった。
中三の今になるまで、打ち解けて話せるクラスメイトは、誰もいない。
――ママは、あたしの辛さなんて、これっぽっちも分からない。
いつも自分勝手だ。
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