夢風船

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夢風船

a2a4bcd2-7b87-4af4-be20-7ffd1025235e きみは覚えているだろうか…… まだ空が高く澄みわたっていた頃のこと 誰に聞いたわけでなく少女は知っていた 自分のうえにある、このおおきな空は 知らぬ誰かと繋がっているのだということ ぱんぱんに膨らんだほっぺの空気を もらった風船へと送り込む……、そう まるで夢とか希望とかこの胸の中にある 言葉には表せないような、期待とか…… そんな物を託すかのように詰めこんで 紐のさきには小さな紙切れ…… 雨でぐちゃぐちゃにならないように 幼心にそんなことを考えビニールで包む 風よ吹け早く吹け、もっともっと強く吹け 夢託された赤い風船は少女の手から空へ 行く先が気になり追いかけた夕暮れ あのおおきな山をも越えていけと祈る瞳 少女の手から毎日まいにち飛び立つ風船 いつかきっとまだ見ぬ土地の知らない誰か そんな人から返事がくると信じていた…… ふと空を見上げ白い雲に思わずくすり笑う 幼かった少女の夢とか希望とかそんなもの まだこの空を漂っているのだろうか…… 『わたしとおともだちになってください』
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