2人が本棚に入れています
本棚に追加
キミニフレ
それは重く垂れ下がった僕のまんなかに
懐かしく……そして、優しく聴こえていた
とじたままの瞳に触れたぬくもりは
くすぐったいほどの春をふり撒きゆれて
手をのばし声を掴もうとしてみたけれど
共にいこうと、それを取ってはくれずに
ただ僕の首すじを流れては肩にとどまり
ときに胸へとせつなくうずくまりその名を
呼ばないで……お願い、やめないで……
このまま深く……もっと僕のなかへ来てよ
きみを留めておきたいこの心を知ってか
いたずらに水たまりを踏んで朝をよぶんだ
優しいと寂しいは、類義語だったんだね
河津桜の色した雨がそれを教えてくれたよ
最初のコメントを投稿しよう!