君と、どこへ

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 マクドナルドは黄色、セブンイレブンは緑、みずほ銀行は青、色が付いた看板に目を奪われているうちに陽が暮れて行って、歩いて帰る頃には昼の終わりを告げるチャイムが公団住宅の中にガーンと響く。音の割れた「夕焼け小焼け」を聴きながら、手押し車の老人達が一斉によたよたと歩き始める。ボクも団地の一角に帰るために思い腰を上げ、手押し車に手を掛ける。   古ぼけた団地の中へ入って行くと、明かりが急に少なくなる。最近の団地は中庭だなんだ、そんな洒落たものがあるらしいけれど、自然が欲しいならこの辺りは何処にだって緑がある。だから、団地に庭なんか不要。
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