557人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
ぼーっとテレビを見ながら、ソファーに座る高橋さんの姿が目に入り安心する。
「ビール飲む?それとも酎ハイ?」
テレビを見ている高橋さんの隣に腰を下ろす。
「酎ハイ頂きます」
「同じ匂いがするね」
「そりゃ同じシャンプー使ってるからですよ」
テレビを見ながら適当に返事をしてくる、高橋さんにイラっとする。
だけどテレビの画面を見て、何故上の空で回答しているのか納得した。
「俺ね、実はそのお笑い芸人好きでもなんでもないんだよね」
テレビにくぎ付けだった高橋さんの視線が俺に移る。
「えっ・・・?ファンだって言ってましたよね?」
「ん?それ嘘だよ」
「えっ・・・?何で?」
「何でって?そりゃ高橋さんが好きだったから」
「えっ・・・?そうだったんですか。そんなこと知らずに、連れまわしてすみません」
「ん?俺はお笑い芸人見てたんじゃなくて、高橋さんをずっと見てたんだよ。だから、全然飽きなかったし、寧ろ嬉しかった」
さっきまでテレビにくぎ付けだった高橋さんの視線が、今は俺に向いている。
「ね、テレビじゃなくて俺を見てよ・・・・」
そのまま高橋さんの顔に自分の顔を近づける。
最初のコメントを投稿しよう!