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疲れてるからだろうか、こんな言葉尻を誤ることなんてめったにないのに。
「杉本さんがそう言ってくれると心強いです」
飯坂さんはそう言い残して、ぺこりとお辞儀をすると会議室を後にした。
俺はその後ろ姿をざわざわする気持ちに気付かないふりをして見送った。
ふと会議室に目をやると、地味女がみんなが置いていった紙コップを一人で片付けている。
会議中は見た目以上にキレることを言うからびっくりしたが、今こうやって見るとほんとに地味な女だ。
ただ、誰もやらないことをみんなが部屋を出てから、黙々と行っているのには好感がもてる。
この地味女の名前も知らないことにはたと気付く。
「お疲れ様です。先程は貴重なご指摘ありがとうございました」
嫌味に聞こえないように満面の笑みを浮かべて地味女に話かけていた。
地味女はちらっと俺の方を見たものの、残り少しとなった紙コップに再び視線を戻す。
「お疲れ様です。先程は出過ぎた真似をしてすみませんでした。以後気を付けます」
満面の笑みを張り付けてしゃべりかけたものの、地味女には通用しなかったようだ。
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