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「ごめんなさい。そういうつもりで言ったわけではなくて。今日の意見は非常に良かったから。
今後も思うところがあったら、どんどん意見してください」
俺の言葉に驚いたのか、目を丸くして俺を見ている。
さっきの時間より遥かに長い時間、目があっていた。
ふいに地味女が視線を外し、最後の紙コップに手を伸ばす。
「承知しました。提案書のドラフトができましたら、ご連絡します」
そう言い残して、地味女は紙コップを手にして、そそくさと会議室を出て行った。
さっきと同様、俺は黙って彼女の背中を見送っていた。
「杉本さん、お疲れっす。プロジェクトに飯坂さんいるなんて、マヂラッキーっすね」
時々、米山は俺の理解を超える発言をする。
仕事を何だと思っているんだと言いたい気持ちを、ぐっと飲みこむ。
「さっきの地味目な女性誰で?最後に一人で紙コップ片付けてた人」
「高橋さん?設計の人ですよね。彼女かなり仕事のスペックは高いらしいですよ。女性としてのスペックはどうか分からないですが」
「おい、米山。発言には気をつけろ。お前は仕事が一人前にできるようになってから人を評価しろ」
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