512人が本棚に入れています
本棚に追加
さっき我慢しようと思っていた小言が思わず出てしまう。
それより、さっきの地味女は高橋という名前なのか。
「了解しました。飯坂さんに仕事できるところ見せれば、惚れられますかね?」
こいつは何にも分かっていないなと、本日2度目のため息を心の中でつく。
「さっ、くだらんことで時間使わないで仕事するぞ、仕事」
米山を引きずるようにして会議室を後にして、デスクに戻る。
会議で出会った高橋という地味女がなんとなく気になる。
きっと正論をぶつけられたのが久々だったから、強烈だったんだろう。
なんだか調子が狂っているような気もしたが、意図的に高橋さんのことを考えないようにして、他の仕事に取り掛かる。
集中し始めたら時間が過ぎるのはあっという間で、気付いたら定時時間は当に過ぎていた。
米山の姿はもちろんなく、フロアにいる人もだいぶ少なくなっていきていた。
明日のスケジュールと今日裁いたしごとを確認したら、キリがちょうど良い。
ここで帰らなかったら日付超えそうな気がしたので、そうと決まれば帰宅の準備を進める。
お隣の調達部に目を向けると、もちろんのこと飯坂さんの姿は無い。
最初のコメントを投稿しよう!