Episode1

10/10
前へ
/138ページ
次へ
 メールを確認すると、今日の打ち合わせで言っていた提案書のドラフトが添付されている。  簡単に中身を確認すると、かなりの出来栄えだ。  よくこんな短時間で仕上げてきたと感心してしまう。  ただ、こんな遅い時間まで女性が仕事をしているのは心配になる。  彼氏に嫌がられたりしないのだろうか。    そんなことを考えている自分にはっとする。  一体俺は何を考えているんだろうか。  高橋さんに彼氏がいようといまいと、俺には関係ないし、心配することでもない。  残っていた缶酎ハイを一気飲みして、思考がおかしくなった頭を麻痺させる。  無心で歯を磨いて、何も考えずにベッドに倒れ込む。  きっと寝たら明日はまともな頭になっているはずだと、最後に自分に言い聞かせる。  これを最後に意識を手放し、ただただベッドに身が沈んでいくのを感じていた。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

512人が本棚に入れています
本棚に追加