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仮に高橋さんから返信が返ってきていなかったらどうしようか。
その時はそうなってから考えれば良い。
逸る気持ちを落ち着かせて、カバンの中からスマホを取り出す。
緊張から震える手でボタンを押す。
『楽しみにしています。お手数おかけして申し訳ありませんが、車よろしくお願いします』
高橋さんからの返信がきていた。
時間を見ると、カバンにスマホを入れた15時半過ぎに送られてきていた。
スマホを置いて行ったことが悔やまれる。
なんて返信すべきなのか正解が分からず、当たり障りのないスタンプを送る。
急に高橋さんと出かけることが現実味を帯びてきて、緊張してくる
柄にもなくトイレへ行き、身なりを整えて香水を軽く振る。
戻った頃には定時近くなっていた。
「杉本さん、やっぱり今日デートですか?」
俺が身なりを整えていることに気付いたのだろう。
米山が声をかけてくる。
「なんでもいいだろ。今日少し早めに切り上げるわ」
「やっぱり何かあるんですね。いいことあったら教えて下さいね」
「分かった分かった。悪いけど、今日は先に帰るわ。お疲れ」
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