544人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
これ以上席にいても集中できないのは分かっていたし、もう終業まで僅かな時間だ。
荷物をまとめて駐車場へと急ぐ。
車の中も汚れていないか一通り確認して、音楽も小さいボリュームだけどリラックスできるものを選んで流す。
準備が整ったところで、コーヒーショップに向かう。
当然のことながら終業時間より少し早めに出たので、コーヒーショップに彼女の姿は無い。
お腹が空いているだろうから、軽食を買っておこうと車を停めて店内に入る。
ホットコーヒー2個とクッキーを2枚買う。
更に緊張が増してくる。
商品を受け取って店の外に出ようと扉の方に目を向けると、高橋さんの後ろ姿が目に入る。
髪の毛が緩く巻かれて、あまり仕事では来ていない服装をしており嬉しくなる。
大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから、高橋さんに向かって歩き始める。
「お疲れさま」
後ろから声を掛けられるとは思っていなかったんだろう。
驚いた顔をして振り向いた高橋さんと目が合う。
「びっくりしました。お疲れ様です。今日はお忙しいのにありがとうございます」
最初のコメントを投稿しよう!