南中するミーティライト

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南中するミーティライト

西暦2024年... ビルが立ち並ぶ大都会 【東京】  現代社会の最高峰。けれど不慮の事故で優秀な統率者を失い、政治不信と民意のすれ違いによって今にも瓦解しそうな社会性を維持するのみだった。 ガタンゴトン....ガタンゴトン....🚃🚃🚃 「....🎶🎶」  高校生ながらに「現代社会は終わっている。」と、そう考える程度には性根が腐りきっていた私。今日も今日とて電車で一時間半、お気に入りの曲を聴きながら夜景を眺め、バイト先に向かう。そんな毎日だ。 「...明日は土曜か… 久しぶりにお家でゴロゴロしよっと。」  車窓越しに様々な色で揺らめく街の光は、黄金色に混ざり合い美しくも幻想的なリアリティを放っていた。 ーーそんな、いつも通りの光景が.......    突然ですが、終わりを迎えましたーー 「なんだろう…彗星...?」  瞳に映るのは宇宙(そら)を流れる美しい輝き。それは光の尾と淡い喪失感だけを残し、ビル群に隠れてしまった。 しかしその一欠片が、突如として東京の空"ド真ん中"を占領した。 「....ミラーボール?」  遥か上空に佇む"あれ"に世間一般は驚嘆するのだろう。まるで大空に咲いた花火のような儚さを纏っていた"あれ"は、街の光を遮るネオンに変貌してしまった。 けれど、私には何故か渇望してしまうような、そんな眩しい存在に思えて仕方ないのだ。  次の瞬間、閃光が走った。 「っあ゛!?…っあ....めっ目がっ!」 視界を奪われた______ ビルの窓に乱反射した輝きは、瞬きよりも速く私の虹彩を焼き尽くした。 「ハッ....っはぁ....っはぁ....」 咄嗟に目を塞ぎ、よろけた拍子に腰が抜けた。突然の事態にどんどんと呼吸が早くなっていく。 「...っあ⋯ッア」 恐る恐る目元を撫で、違和感に気づいてしまった。 ⋯瞑ったはずの瞳、光を遮るはずの瞼、そこに何故か、澄んだ___色が輝き続けているのだ。  訳も分からず目を開ける。200以上のbpmとともに脳の処理が追いつかないまま感覚が希薄になっていく。 そして、悲鳴が音楽を掻き消した。                   ガタッ ザァザァ....ザァザァ....🌊🌊 「____おい、おきろ_______起きろ。」 「……んぅ?……うぅっ…あれ?」  あの時の記憶は曖昧で、どうも思い出せない。あの町はどうなったのか、私はどうなってしまったのか、今では知る由もない。でも、きっとあの夜が明けぬまま世界は壊れてしまったのだろう。
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