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「なんだろう…⋯流星群?」
私の目に映るのは宇宙を流れる美しい輝き。
それは光の尾と喪失感だけを残し、
ビル群に消えてしまった。
しかし、その一欠片。
サイズにして高層ビル一個分の石の塊が、
突如として東京の空"ド真ん中"を占領した。
「……ミラーボール...かな?」
まるで南中した太陽のような彗星。
『何だあれ!?』
『キャー!!!!』
イヤホンの音を遮るほどの声に驚いた。
他の乗客達は遥か上空に佇む"あれ"を恐れているようだ。
当然の反応だ。
けれど、私には何故か、
渇望してしまうような……眩い存在に思えて仕方ないのだ。
次の瞬間、閃光が走った。
ビルの窓に乱反射した輝きは、
瞬きよりも速く人々の虹彩を焼き尽くした。
「っあ''!? っあ⋯⋯めっ目がっ!」
目が痛い!!
「ハッ⋯⋯っはぁ⋯⋯っはぁ⋯⋯」
咄嗟に目を塞ぎ、よろけた拍子に腰が抜けた。
突然の事態にどんどんと心拍数が上がっていく。
「⋯⋯っあ...っあ!」
恐る恐る目元に触れ、その違和感に気づいてしまった。
光を遮るはずの瞼、そこには……
澄んだ青紫色が輝き続けていた!!
「っな! ぅう...痛い!」
曲はサビに入り、
もう数え切れないBPMとは裏腹に、
どこか悟ったようにこう呟いた。
「あぁ、やな人生だったな」
感覚が弱くなっていく。
やっと死ねる...これで『こんな私』ともサヨナラだ...
ガタッ
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