ケジメの意味

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ケジメの意味

 ーー ケジメをつけてくる  彼女から、掌サイズの手紙を受け取った金森。手紙の中身を無意識に呟く。  (コレは、本当に訳アリだな……)  内心呟き、彼女の方へゆっくりと視線を移す。 「〈ケジメ〉とは……?どういう事でしょうか??神龍時さん」  自分でも驚いてしまう重めの声色。こんな事言われたら、萎縮して返答できなくなってしまうだろう。  話題を切り替えた方が良い、と口を開こうとした刹那 ーー 「この当時の彼ね、ご両親に内緒で私と同棲していたんです」    急な展開に、取材用のメモを滑らかに執筆していた金森の手が停止した。  そう、この当時は〈禁止〉されていたからだ。  ーー 【妖魔と人間】の同棲。  正確には、人間に化けている妖魔限定だが。  海外で問題無かったが、日本だけは頑なに拒否していた。  数年前の〈とある事件〉によって ーー ◇◇◇  狼男と同棲していた仲睦まじいカップルがいた。  満月の夜。  狼男になった彼が野生化してしまい我を忘れ、自分の彼女を喰い殺してしまったのだ。  だが、その後が大変だった。  加害者を実刑判決に下したくても、妖魔の世界の住人を怒らせたら戦争になってしまうなどの議論が、国会中継で一ヶ月行われていた程にだ。  最終結果、ーー【妖魔と人間の同棲を禁ず】  これが公表されて以来、異種間恋愛していた者達の同棲生活が強制終了となった。国は、〈生命の危機を考えて〉という理由で発表した。  だが実際は、ーー逃げたのだ。  妖魔の世界でも、人間を毛嫌いしている者もいる。  (神龍時さんの相手のご両親は、たぶん人間を ーー)  だが、ふと疑問に思った。  同棲•結婚はアウトだけど、それ以外は問題無い。なのに……、 「……この理由で、〈ケジメをつけてくる〉というのは大袈裟かな……と思いますが?」    言葉の失態を再度しないように、発言を配慮する金森。  コレは、仕事。友達同士の世間話では無い。  そんな仕事モードの彼女に、風羅はバックから写真を取り出す。その顔つきは観念したような笑顔。 「金森さん……凄いですね。そんな事聞かれたの初めてです。 解答をお渡ししますね」  そして、写真を金森の目の前に静かに置く。  そこには、意外なモノが写っていた。 「……子供が、二人?」  ますます、意味が分からない。なのに、目の前の彼女は先程より愛情深い微笑み。 「神龍時さん、この子達は……いったい?」 「……私達の子供、0歳時の双子ちゃんです」 「……え?」 「私達、今で言う〈授かり婚〉なんです」
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